信じられない思いと、こみ上げてくる懐かしさで返事すらできなくて……。
そんな私を見て、和泉くんは嬉しそうに笑った。

「うわー、懐かしいな。俺の事覚えてるか?」

隣の席に座りながら聞く和泉くんに、戸惑いながらも頷く。

「うん。覚えてるよ……和泉くんだよね?」
「そうそう。莉子変わらないなー。高校ん時のままだし、そのまま制服着ても違和感ない」
「和泉くんも……全然変わらないね。びっくりした」

色んな意味を込めてのびっくりしたって言葉だったけど、和泉くんはお世辞と取ったのか嬉しそうに笑った。
店員さんが来て、三人分のオーダーを取って席から離れたのを確認して、佐和ちゃんが話し出す。

「和泉、この後予定ないっていうから無理やり誘ったの。莉子に会わせたくて。
ほら、いくら口で説明しても、莉子は一緒に住んでる男を和泉だって信じ切ってたから。
でも、こっちが正真正銘の和泉だったでしょ?」

本当の和泉くんだ。間違いない。
だけど……ここで頷いてしまったら、奏一くんを否定してしまう事になる気がして頷けなくて。

そんな私に和泉くんが笑う。

「なんだよ、本当の和泉って。他に何人もいるって事?」
「莉子ね、今、和泉って男と一緒に暮らしてるのよ。
莉子はずっとその男が和泉本人だと思って暮らしてたのに、急にあんたが現れて別人だってなったから、動揺してるの」

佐和ちゃんにざっくりとした説明を受けた和泉くんが顔をしかめて私を見る。