『莉子?! あんた今どこにいるの?!』
「え……ああ、こないだ話したでしょ?」
『和泉んとこ?!』
「……うん。どうしたの? そんな慌てて」

佐和ちゃんは割といつもテンション高いけど、それとは別みたいに思えた。
テンション高いっていうか、私がいつもツッコまれるような事ばっかりしているから、佐和ちゃんがそうなるのかもしれないけど。

和泉くんの様子が気になってチラチラと視線を向けながら佐和ちゃんの質問に答えていると、電話の向こうで佐和ちゃんが聞く。
その声は、さっきまでの勢いのある声とは違っていた。

『私、今偶然和泉に会ったんだけど……和泉、先週まで海外にいたし莉子とは会ってないって言ってたんだけど』

深刻そうな声のトーンに、え……とだけ声をもらすと、佐和ちゃんが続ける。

『嘘ついてるんじゃないかと思ってしつこく延々と聞いてたら、パスポート見せてくれたんだけど、確かに本人だったし入国の日も先週になってた』