いつの間にか、黒のTシャツとジーンズに着替えていた和泉くんが部屋から出てキッチンに向かう。
その姿を見て、私も脱がされた服を急いで拾い集めて身につける。
いつもと違う雰囲気を感じて戸惑いながらもリビングのソファに座っていると、マグカップをふたつ持った和泉くんがこっちにきて。
テーブルにそれを置くと隣に座った。
和泉くんの体重で少し沈んだソファを感じながらじっと見つめていると、和泉くんも私に視線を合わせる。
そして、少しだけつらそうに顔をしかめて……「ごめん」と口火を切った。
「何に対してのごめんなの……?」
聞いてもなかなか話してくれない和泉くんに、考えが悪い方にばかり向かっていく。
さっきまであんなに幸せだったのに、それはもうどこにも見当たらなかった。
ただ緊張と不安だけが部屋を包んでいた。
「もしかして……私の気持ちが迷惑だった……?
あまりに好き好きうるさかったから、やっぱり嫌になったとかそういう……」
「違う」
言い終わらないうちに否定してくれる和泉くんに少しホっとしたけれど、和泉くんのつらそうな顔はそのままで、安心した気持ちもすぐに消えてまた不安を増幅させる。



