「いや、嬉しかった」
「本当に? 無理しなくていいよ」
「本当に。俺の名前呼んで好きだって繰り返す莉子が嬉しかったんだ。
本気で想ってくれてるみたいに感じて」

だって本気だもんと言いながら、和泉くんの何も着ていない胸にくっつけたおでこをすり寄せる。
何度かそうしていると上からくすぐったいと半分笑ったような声が降ってきて。

くすぐったいの弱いのかな、なんていたずら心が芽生えてきて、脇腹でもくすぐろうかとこっそり手を動かしていた時だった。

和泉くんが私を呼んだのは。

「莉子」

いつもとは少し違ったトーンに顔を上げると、真剣な顔をした和泉くんが私を見ていた。
緊張しているようにも見えるほどの真面目な顔に、なに?と戸惑いながら聞き返すと、少し間を空けた後「話がある」と言われる。

「話って?」
「とりあえず着替えてからリビングで話すよ。お茶入れるけど何がいい?」
「あ、それなら私が……」
「いいから。コーヒーでいい?
砂糖半分とミルクひとつだったよな」
「あ、うん……そう」