とにかくお金を貯めないといけない。
この部屋を出て行くためのお金。

和泉くんはゆっくりでいいって言うけど、そういうわけにもいかないし。

どんな仕事でもいいから、早く決めて一ヶ月分の給料が入れば、次の部屋を借りるためのお金はできる。
敷金礼金がないところもあるし、そういうところを選んで、残ったお金で小さい冷蔵庫を買って。
そうすればどうにか生活はできる。

そんな風に考えて、和泉くんに借りたパソコンで求人情報を調べる。
本当は部屋で調べようと思ったけど、借りたパソコンを部屋に持ち込むのは悪い気がして、リビングのテーブルで。
和泉くんは自室にいるし、ここで調べていても特に問題はないし。
もっとも、仕事調べてるところを見られたって何の問題もないけれど。

派遣、ひとつしか登録していないけど、もうひとつくらい増やしてもいいかもしれない。
でも派遣会社からの連絡を待つよりも、バイトをかけもちしてぎりぎりまで働けばそれなりにお金も稼げるし、そっちの方が手っ取り早いか。

コンビニの深夜とかなら、和泉くんのご飯作りながらでもできる。
それと、和泉くんが出社してから帰ってくるまでの日中の時間を使えばもうひとつかけもちもできるし……月十万は稼げる。