これ以上和泉くんに甘えちゃいけない。
これ以上……優しさを受け取って期待を膨らませちゃダメ。

頼みの綱の佐和ちゃんが風船割ってくれないんだから、もうこれ以上は自分で制御するしかないんだから。
そう思いながら、今度は玄関と部屋との往復をこなして、全部を運び入れる。

なんかもうこのまま寝ちゃいたい気持ちだったけど、そういえば夕飯がまだだった事を思い出して慌てて部屋を飛び出す。
そしてエプロンをつけながらキッチンに向かうと、そこには和泉くんの姿があった。
両手に乗せたお皿の上には、湯気を立てるチャーハンがあって。

床につきそうなほどに頭を下げたのは言うまでもない。

ご主人様の和泉くんが作ってくださったチャーハンを食べ終わった後、せめてもと思って入れたホットウーロン茶。
リビングのローテーブルにカップを置くと、ソファに深く腰掛けて読書中だった和泉くんが身体を起こす。

「部屋、よく詰め込めたな」
「うん……なんか物置状態になっちゃったけど」

苦笑いしながら、和泉くんが差し出してくれたクッションを床に敷いてその上に座る。
最初はふかふかだったクッションも、毎日のように私の下敷きにされてるから、本来あるべき姿の半分の厚さになっていた。