嘘を本当にって……つまり本当に彼女になればっていう意味合いになる気がするけど、私の解釈の仕方がおかしいんだろうか。
それともただのボケでツッコミ待ちされてるのか。

熱にうかされてもう何も判断できない状態で出た、うわごとみたいなものなのか。

何にしても、和泉くんをこっそり好きな私にとってはかなり衝撃的な言葉には違いなくて、すぐに答える事ができなかった。
心臓が小動物並みの速さで身体を震わせるから、乱れた思考回路が余計にぐちゃぐちゃになって何も考えられなくて。
ただ、和泉くんの瞳を見つめ返すしかできなかった。

掴まれた腕が、熱い。

「あ、あの……今のって……」

戸惑いながらもなんとかそれだけ言った私をしばらく見ていた和泉くんが、不意に腕を離してキッチンに向かう。

「冗談だ。真に受けるな」
「え……あ、ごめん。そうだよね……ごめん」

玄関先に置きっぱなしになっていた、私の持ってきた買い物袋。
和泉くんがそれを持ってキッチンに運ぶ姿を見て、ハっとして駆け寄る。

気持ちの収集がうまくできなくてぼんやりしちゃってたけど、今は恋だのなんだのを考えてる場合じゃなかったんだった。
和泉くんは病人なんだから。