「社内での事を考えるとあまりきつく言ってもと思って、今までは黙認してたけど、岩上の行動はエスカレートするばかりだし、さすがにもう黙って見てはいられない。
仕事中に内線を使って私用の電話をかけてきたり、パソコンにメールしてきたり、帰りに待ち伏せしたり」
「だって、そうでもしないと私に構ってくれないじゃないですかっ!
少しでも私の事を気にかけて欲しくて、それで必死に……っ」
「何度も言うが、俺は岩上を何とも思っていないしこれから興味を持つこともない。
そんな相手をなんで構う必要がある?」
「でも、好きなんです……っ。私、本当に和泉さんの事が好きで、だから……」
「好きなら何でも許されると思わない方がいい。
とにかく、これ以上続けるようなら会社にも岩上の派遣会社にも報告するつもりだから。
最初は悪いと思っていたけど、もうそんな気持ちもなくなった」
あまりに厳しい言葉ばかりを並べる和泉くんには、岩上さんに同情してしまうほどだった。
そういえば私が初めてこの部屋に上がった時も厳しい事ばかりを言っていたっけと思い出す。
最近は、あまりというかまったくと言っていいほど刺々しさみたいなモノは感じなくなっていたけど……。
そこまで考えて、なんでだろうと理由が気になり始める。
私が慣れて自分でも気づかないうちに聞き流しているんだろうか。
それとも、和泉くんの私への接し方が変わったのか。



