「聞いてたよ。本当に寝てたわけじゃないし。
他人が家にいる状態で眠れるほど警戒心がないわけじゃないから。
そういう意味でも早く帰って欲しかったんだけど、なかなか帰ろうとしなかったから困ってたんだ」

話を聞いていると、岩上さんは随分強引に和泉くんを送って部屋に入ったらしい。
しかもどうやら、以前告白もしているみたいだし……。

岩上さんには悪いけど、ストーカーなんて言葉が頭をよぎってしまう。

私は女だし割と恋愛思考が強いから、好きな人が体調を崩したりしたら看病したいとか手助けしたいと思う気持ちはよく分かる。
だけど、恋愛なんて面倒だとか思っていそうな上、そういう感情に嫌悪感すら抱いていそうな和泉くんにしたら、岩上さんの行動は、迷惑条例とか摘要したくなるものなのかもしれない。

実際、和泉くんが恋愛をどう思っているのかは知らないから、私の勝手な想像でしかないんだけど。

そんな風に感じるのは、和泉くんがいつでも倫理的というか理性的だからかもしれない。
感情丸出しの恋愛とは遠くにいる感じがするから。