「世話になっておきながらこんな事言うのも申し訳ないけど、俺ももういい大人だし、ただの風邪なら倒れない限りどうにでもなる。
少なくとも、俺がひとりで帰れるって言っても聞く耳持たずにつきまとって家まで上がり込まれる方が俺にとっては困るし迷惑」
はぁ、と本当に面倒そうにため息をつきながら言う和泉くんに、岩上さんの表情が悲しみで歪んでいくのが見て取れた。
「もしこいつがどうしょうもないヤツだったとしても、俺が好きで傍にいる以上、第三者に口を出す権利なんかないだろ。
私的感情のみの嫌味でこいつを傷つけるのはやめて欲しい」
「だけどっ、大野さんより私の方がきっと和泉さんの事を……っ」
「その話ならもう断ったハズだろ。
随分前から何度も断ってるのに、俺の迷惑も考えないで付きまとってくるヤツにこいつをどうこう言う資格はないと思うけど。
それに、岩上も分かっただろ、大野に敵わないって」
敵わないだなんて……。
私が岩上さんに適わない部分ならたくさんありそうだけど、その逆は自分でも情けないけど思いつかない。



