「別にいいです。落ち込んでるわけじゃないですし、そんな嘘ついてまでフォローしなくても」
「嘘なんかじゃ……」
「和泉さんから聞きましたから。
一緒に暮らしてる子がいるから部屋には上がらないで欲しいって、部屋に着くまでも着いてからもずっと言ってました。
それに、週末に和泉さんがデートしてたって噂も女性社員の間では流れてますし。
彼女なんでしょ?」

ああ、そうか。
彼女って事にしておいた方が、同居も簡単に説明がつくし、いとこだとかそんな関係にするよりもいいかもしれない。
私が和泉くんの彼女だなんて恐れ多い気もするけど。

だけど……嘘だとしてもそんな関係になるなんて和泉くんに申し訳なくて言えなくて。

ただ迷惑をかけてるだけの居候が何言ってるんだと思うと頷く事も否定する事もできずにいると、また睨まれてしまった。

「別に、悔し紛れで言うわけじゃないけど。
あなたみたいに抜けてる女、和泉さんには不釣り合いじゃないですか」
「不釣り合い……ですよね」

それは本当にそうだと自分でも思うだけにそう返事をすると、岩上さんが怪訝そうな顔つきで続ける。