「もしかして頭弱い人?」
「え、弱くはないと思いますけど……」
強くもないと思うけど。
どういう意味が分からずにそれだけ答えると、岩上さんに大きなため息をつかれる。
「伝わってないみたいだからはっきり言っておきますけど。
彼女失格だって言ってるんです」
「……え?」
「調子悪い彼氏を平気で仕事に送り出して、挙句、他の女に看病されてるのに呑気にお礼なんて言って。
情けなくないんですか?」
「すごく情けないです。朝、強引に引き留めておけばよかったって今も猛烈に後悔してますし。
だけど、岩上さんが看病してくださった事は本当に助かったと思ってますし、ありがたかったのでお礼を言ったまでです」
それのどこがマズかったんだろう。
不思議に思いながら答えた私を見て、岩上さんはポカンとしてしまって。
それからまた、しかめっ面を顔に貼りつけた。
「だから、よく他の女に看病されてそんな事言ってられますねって事です。
普通、イライラするでしょう、勝手に我が物顔で部屋に入られて彼氏の面倒見られて」
「え、怒るべきだったって事ですか? あ、やきもちやいて?」
「そうです!」



