私だったら、高熱を出して寝込んでいる時ひとりだったら心細い。
現に先週だってそうだった。
だけど、そんなわがまま言えないでいたら、私の気持ちを察してくれたのか、和泉くんはリビングにつながるドアをずっと開けっ放しにしておいてくれた。
小声で呼んでも分かるように。
和泉くんの立てる生活音が聞こえて、三十分に一回くらい様子を見にきてくれている気配を感じて。
だから安心して眠っていられたんだ。
和泉くんの心遣いのおかげで。
それなのに私は……。
面接だったし仕方ないとはいえ、そんな自分が情けなくなった。
こんなにお世話になっておきながら何やってるんだろうって。
「すみません。本当に岩上さんの言う通りで返す言葉もないです。
でも、ありがとうございました」
お礼を言いながら頭を下げてまた上げると、岩上さんは訳が分からなそうに眉間にシワを寄せていた。
「和泉くん、きっとひとりだったら心細かったと思うので、岩上さんが一緒にいてくださってよかったです。
本当にありがとうございました」
もう一度頭を下げると、岩上さんはますます顔をしかめてしまう。



