左の下の位置でひとつにまとめている髪にはふわふわしたパーマがかけられていた。
私もかかってるけど、私のよりもきつめの巻具合に見える。
女性は私に気づいて、少し驚いた顔をして……それからまるで邪魔者でも見るような視線で睨みつける。
睨んだまま何も話そうとしない女性の存在に戸惑いながら、どちら様でしょうかと遠慮がちに声をかけると、女性は少し間を空けてからようやく答えた。
「和泉さんの働く会社で受付をしてる、岩上です」
「あ、同じ会社の方ですか。私は……」
名前を言おうとして、ハっとする。
名前はいいとして、和泉くんとの関係をなんて言えばいいだろう。
居候ですって答えが正解なのは分かっていたけど、和泉くんの立場を考えると事実を答えればいいものなのか悩む。
訳の分からない女を簡単に同居させているなんて、和泉くんの社内での評判に影響してしまうかもしれない。
だったらここは、いとこだとか兄妹にしておいた方が無難だ。
けど、和泉くんがこの岩上さんって人に何か話していた場合。
私が変に嘘を付いたら、私と和泉くんの答えが合わなくなっちゃうし……。
そんな風に考えて答えに迷っていると、しびれをきらしたように岩上さんが口を開く。



