だけどそれは、部外者の私が強要する事じゃないのは分かってるし、和泉くんが仕事に行くって言っている以上止める権利もない。
彼女とかなら、話も別なのかもしれないけれど。
一緒に暮らして、週末はデートみたいな事繰り返しても、私は結局和泉くんにとってなんでもなくて。
そんな事実がこんな時に浮き彫りになって寂しくなる。
一緒に住んでいるんだから、こんな時は助けたいし何でもしてあげたいのに、私と和泉くんは結局はただの他人でしかなくて。
ご主人様と家政婦、もしくは家主と同居人でしかなくて。
意見する事もできないなんてもちろん悔しいし……ひどくもどかしい。
結局私は和泉くんが行くって決めた以上、何も言う事はできなくて。
急きょ作ったおかゆを少しだけ食べて市販の薬を飲んで、つらそうに会社に向かう和泉くんを見送る事しかできなかった。
心配のあまり玄関先までついていくと、そんな私を和泉くんが振り返る。
そしてじっと見つめた。
「今日、面接だって言ってたろ。遅れないように」
「……和泉くんは私の面接の心配なんかより、自分の体調の心配した方がいいよ。
つらくなったらちゃんと病院行ってね? あと、水分補給をこまめにして……熱、絶対に高いから大事な仕事終わったらできれば帰っ……」
「俺、大人だから」



