「でも、手あてただけで分かるくらいだから絶対高いよ。
朝一で病院に行って薬もらってこないと」
「いいよ。家に市販のがあるし。会社も行ける」
「えっ、でもそんなふらふらしてるのに? 顔色だってよくないよ」
「顔色はもともとそんなよくないからどうって事ない」
確かに、和泉くんはいつも血色いいわけじゃなくてどっちかっていえば赤みがなくて白いけど……だからってその言い分に、まぁ言われてみればそうだよね、なんて頷けない。
それに、今の顔色の悪さはいつものじゃないし。
白っていうよりも青白い。
熱上がってたら赤くなるんじゃないかとも思うけど、今はそんなの気にしてる場合じゃない。
「仕事……せめて午前中だけでも休めない? 抜けられない仕事なの?」
体調が悪くても、どうしても抜けられない仕事がある事も分かる。
だから心配しながらもそう聞くと、和泉くんはつらそうに少し顔をしかめながら、ひとつだけ外せない仕事があるからと答えた。
なら仕方ないんだろうか。
本音を言えば休んで病院に行って欲しいと思う。
それが無理なら薬を飲んで寝ていて欲しい。



