慎哉は自分が 悪性の癌にかかっていることを 知っていたという。 なんで、 慎哉なのだろう。 茉莉花をもじって、 「リカ」って、 呼ぶあの声が懐かしい。 なんて思いたくなかった。 ずっと、 慎哉の夢に浸っていたい。 そう思い続けて また夏が来た。 高校二年生の夏が……