サファイアが"ガーネット"を潰すと宣告した日まで後一か月に迫ったある日のこと――――


「ねぇ、由良。今日暇でしょ?」

一限目が終わるとすぐ、美玲が尋ねてきた。


「ふぇ?うん。暇だよ?」

どうしたのかな、なんて思っていると、美玲は楽しそうな顔をしてあたしに言った。


「今日の夕方、あたしに付き合って」

「いいよ」

どこ行くんだろう?

買い物?

食べ歩き?

久しぶりに外に出るから楽しみー♪


「じゃあ、待っててね」


あ、と美玲は付け加えた。


「あたしの友達も一人一緒なんだけど…いいかな?」

「もちろん」

ありがとう、と美玲は微笑んだ。


美玲のお友達…

どんな人かな?

友達になれるかな?


なんてワクワクしていた。


あ、今日は翔太がお休みなんだ。

どうやら、"サファイア"の用事があるみたい。

仮当主さんは忙しいよね。


最近はいつも忙しそうにしているんだ。

だから、ちゃんと休めてるか心配で、大丈夫?って聞くんだけど

『大丈夫だから心配するな』って言い返されるんだよ。


全く、不愛想だよねー?


あたしは隣の翔太の席をみて溜息をついた。