「翔...太……」

美玲が俺を見て怖がった。

全身に力を入れて、部屋の隅で震えている。


まぁ…

そうだよな……

いきなり由良を刺して、親友の雅人を殴ったんだもんな。


頭では理解できているが、少し胸が痛んだ。

もちろん、特別な恋愛感情など、美玲に対して抱いたことは一度もないが、俺の大事な友達であり幼馴染だから…余計に辛い。


「美玲、もう大丈夫だから」

由良が美玲の肩を抱いた。

「………」

「翔太の目を見てみて?」

優しく微笑んだ。


「…あ……」

美玲は、俺の目を見て驚いた。

「目の色が違う……」


ヤツに乗っ取られていたときは、瞳の色が違ったのか…


「ね?もう、元通りだから。いつも通りの翔太だから。もう、誰かを傷つけたりしないよ。 ね?」


由良がこちらを見てふわりと微笑んだ。

ドキ、と一瞬大きく聞こえた鼓動を無視する。


「あぁ」

俺は美玲をまっすぐ見て答えた。


「…良かった…」


美玲は、ようやく俺が元に戻ったと信じてくれた。

俺に微笑んでくれた。


俺は思わず口元が緩んだ。