目を開けると、綺麗な月は消えていて、明るい太陽が空に昇っていた。

そして、翔太の腕の中ではなく、あたしの自室のベッドの上にいた。


翔太が運んでくれたのかな?

ほんと、優しいんだな…


っていうか、

昨日のあたし、絶対変だったよね!?

秘密主義を破っちゃうし、翔太の腕の中にいることに安心しちゃったし‼

記憶、消さなくちゃ。

善は急げということで…早速消します♪

机の上の杖をとり、翔太の方をめがけて呪文とともに杖を振った。

「"パーフェクト・オブリビオン"」

これで、昨日漏らした秘密は翔太の中から綺麗さっぱり消えたはず。

まだ眠ってるようだから、朝起きればもうあたしがした話は忘れて思い出すことはない。

それに普通のオブリビオンよりも、もっと完成度の高い魔法をかけたから、もう2度と思い出すことはできない。

あー、これで一安心♪


あ、そうだ報告に行かないと‼

120%お父様に怒られるー!

怒られるのが前提でお父様の元へ行くのはすごく嫌だけど、これで行かなかったらさらに怒られるんだよね。それの方がもっと嫌…。


あーぁ、また修業のメニューが増えたりするのかな…?


そう思うと憂鬱でしかたがない。



時計を見ると今は朝の5時。


お父様はすごく遅寝早起きだからね。

睡眠時間2時間とか当たり前なお方だから、

多分、この時間帯は起きてるとは思うけど…


とりあえず、行ってみますか。


「"モーメント・ムーブ"」


突然風が吹き出し、あたしを包み込む。


あたしは目を閉じた――――