「そりゃあ……時間が経てば色は変わるだろ。バカじゃねぇのか?」
「じゃあ、すぐにもう片方も見てみろよ!」
言われるがままに見てみると、確かにそこには青の信号機があった。
本来、片方が青色なら、もう片方は赤色ではなければいけないのに。何度見比べても、四面方向──その場にあるすべての信号機は〝青〟だった。
ユキくんの車にぶつかってきた犯人の運転手は、信号機が青だから車をとめることなく運転していたんだ。
ボタンを押した時にだけ信号が変わるとか、道によっては変わった光り方をする信号機があるのは知っているけど、こんな……すべてが同じ〝青〟なのは、今まで生きていて見たことがない。
じゃあ、これは……もちろん事故を起こした運転手が悪いのは大前提として、信号機を作った人?は違うか。管理している人……って誰だろう?警察?が悪いっていうことなの……?
──ドーンッ!!!
また、わりと近くからけたたましい衝突音が聞こえた。みんながみんな、そちらに近付くと、そこは一本隣の道路らしく、私たちが体験したことと同じような光景になっていた。
四面方向、すべてが青信号。
さっきと違うところといえば、事故車が3台に増えているということ。とんだ大事故になってしまっている。
私がそれらをぼんやりと眺めていると、どこか遠くからサイレンの音が近付いてくるのが聞こえた。
──その日、全国の信号機すべてが謎の青一色になるという現象が発生したため、それによって起きた事故により数百人以上の負傷者、あるいは死者が出たという。
これがニュースで報道されて……ユキくんが言っていた〝世界滅亡〟への序章なのだとしたら、やっぱり、私に出来ることは何もない。だって、ユキくんが死んでいった時でさえ、何も出来なかったのだから。
私はただ、世界が崩壊していく様を眺めていることしか出来ないのだ。
……でも、今すぐにでもユキくんのもとへ行けたなら、世界滅亡を眺めないで済むのかもしれない。
ねぇ? ユキくん。
END.
「じゃあ、すぐにもう片方も見てみろよ!」
言われるがままに見てみると、確かにそこには青の信号機があった。
本来、片方が青色なら、もう片方は赤色ではなければいけないのに。何度見比べても、四面方向──その場にあるすべての信号機は〝青〟だった。
ユキくんの車にぶつかってきた犯人の運転手は、信号機が青だから車をとめることなく運転していたんだ。
ボタンを押した時にだけ信号が変わるとか、道によっては変わった光り方をする信号機があるのは知っているけど、こんな……すべてが同じ〝青〟なのは、今まで生きていて見たことがない。
じゃあ、これは……もちろん事故を起こした運転手が悪いのは大前提として、信号機を作った人?は違うか。管理している人……って誰だろう?警察?が悪いっていうことなの……?
──ドーンッ!!!
また、わりと近くからけたたましい衝突音が聞こえた。みんながみんな、そちらに近付くと、そこは一本隣の道路らしく、私たちが体験したことと同じような光景になっていた。
四面方向、すべてが青信号。
さっきと違うところといえば、事故車が3台に増えているということ。とんだ大事故になってしまっている。
私がそれらをぼんやりと眺めていると、どこか遠くからサイレンの音が近付いてくるのが聞こえた。
──その日、全国の信号機すべてが謎の青一色になるという現象が発生したため、それによって起きた事故により数百人以上の負傷者、あるいは死者が出たという。
これがニュースで報道されて……ユキくんが言っていた〝世界滅亡〟への序章なのだとしたら、やっぱり、私に出来ることは何もない。だって、ユキくんが死んでいった時でさえ、何も出来なかったのだから。
私はただ、世界が崩壊していく様を眺めていることしか出来ないのだ。
……でも、今すぐにでもユキくんのもとへ行けたなら、世界滅亡を眺めないで済むのかもしれない。
ねぇ? ユキくん。
END.



