「ちょっ……ユミコ。アンタ、水槽からでて大丈夫なわ……け……ぐぇっ……うぇぇぇ……」


 怒りに身を任せ、水槽からでた私は、一直線に彼女らのもとへ行こうとズルズルとはいずり寄る。

 水槽から出た私の身体は、ドロドロになって溶けていく。

 そんな私を見て、(気持ち悪い)とでも思ったのか、彼女らはその場で嘔吐する。

 彼女らが顔を蒼白させていることなんて気にもしないまま、私は彼女らのもとへとはいずり寄った。


「くんな!くんなって……!いやぁ……っ!」

「私、知っていた」


 水槽の中の口(クチ)が言う。


「耳(ミミ)、泣いていた。『もう嫌だ』って泣いていた。だから……」


 私の手が、彼女らのうちの1人の首に触れた。