ディスオーダー【短編集】


 息がだんだんできなくなってきた。

 苦しい。苦しい。苦しい。

 思考もまわらなくなってきた。


 遠退く意識の中で、僕は確かに、聞いたんだ。


「コウタ!また虫をビンの中に閉じ込めて!」

「……」

「掃除をするのは、母さんなんですからね!」

「はーい、母さん」


 ……ああ。


 ああ、そうか。



 僕が虫であることが、悪いことなのか。



END.