ディスオーダー【短編集】

 幽霊になっても変わらない。

 〝そいつら〟は無限に湧く。

 それを知った途端、やる気なんて失せて、周りの人のことなんてどうでもよくなって、僕はまた〝そいつら〟を無視した。


「憑いていますね。しかも、かなり怨みの強い男性の霊が……。今すぐにお祓いをしないと、あなた、殺されて死んでしまいますよ」


 ある日、僕は2度目の死を迎えた。

 今回は自殺なんかじゃない、他殺だ。

 僕は紛れもなく人間の手によって殺され、そして消されたんだ。


 〝そいつら〟=ストレス。

 〝そいつら〟イコール、ストレス。

 ソイツライコールストレス。


 殺したと思っていたストレスは実は殺されてなんかなく、自分の心の奥底で積もりに積もっていただけなのかもしれない。

 無視したと思っていたストレスは実は無視できていなくて、自分の心の奥底で積もりに積もっていただけなのかもしれない。

 積もりに積もって積もりに積もったストレスたちは、ついに耐えきれなくなって牙を向き、自分の意思とは関係なく気が付いた時には誰かの命を殺めていた。


 すべてはストレスのせいです。
 何もかもストレスがわるいんです。


 ストレスを生み出す、腐ったこの世の中の。


END.