彼は無口な男だった。 自分の意思表示をせず、ただダラダラと時が流れるままに息をしているだけの、そんな男。 周りの者が話し掛けても無視。 周りの者が茶化したりバカにしても、彼は怒ることはせず、ただただ無視。 黙って周りの者らを睨んでいる。 誰も彼を相手にしなくなった時、彼は本当のヒトリになった。 ずいぶんと月日が経った時、彼に見向きをする人は、誰もいなくなっていた。