ディスオーダー【短編集】


「母さん? 何遊んでいるの? 楽しい? ねぇ。楽しい?」


 母さんはほんっとうにダメな人だなぁ。朝ご飯を作るのを放棄して、1人でゆらゆらと揺れて遊んでいるだなんて。


「なんで喋らないの? 喋れなくなるほど楽しいの?」


 話しかけても喋りかけても問いかけても、母さんは無言のまま揺れているだけ。

 でも、僕の言葉を無視しちゃうくらい、楽しいんだよね?

 そういえば、近所のタイチくんの母さんも同じ遊びをしているところが見付かって、祭みたいに大騒ぎしていたっけ。


「あ。ロープ、もう1本あるんだね」


 いいな。いいな。

 楽しそうで。


「ねぇ。母さん」



 僕も遊んでみるよ。



END.