ディスオーダー【短編集】


 声音からして、興味のなさそうな……いやでも呆れているような気もする……。


「おかしいな。身体が見ちゃいけないって拒否反応を起こしているんだ。だから見れない。なぁ、マサキ。楽しい?」


 変なの。

 見ちゃいけないって拒否反応を起こしているだなんて。


「楽しい、よ?」

「本当に?」

「うん」

「……そう」


 目の前にいる真っ黒な子供は、僕に背を向けた。


「あまり空を見上げすぎていると、太陽に焼かれて死んじゃうから気を付けなよ」


 その言葉を最後に、真っ黒な子供はどこかへと去っていって消えてしまった。

 太陽に焼かれて死んじゃう、か。

 熱中症で倒れるならまだしも、焼かれるだなんてそんなことが起こるわけがないじゃないか。

 本当に、変なの。ってか、誰だし。未だに名前が思い出せない。

 僕は長々と溜め息を吐き、再び空を見上げた。