ディスオーダー【短編集】


 ──9月21日。

 ──エリーお嬢様の居場所がバレたという情報を耳にした。早い。あまりにも早すぎる。もうしばらくはこのまま順調だと信じて疑わなかったのに、まさか、こんなにも早くに終わってしまう の  か  かかか か k k Kk K K K ? ??




 ── 1   1 月 2  日 。

 ── T  h e    E n  d .(終わりだ。)



 ……ごくり。
 思わず生唾を飲み込む。

 何が起きたのかは分からないけれど、酷く字が乱れている。この一文を最後に、英語の文は終わってしまった。

 パラパラとページをめくると、まったく筆跡が違う英文が一言。


 ──5月29日。

 ──Help me !!


 使われているペンも違うし、こんなにも筆跡が違うだなんて……。これは、明らかに今までの執事らしき人が書いたものではない。

 エリーお嬢様とやらにも、その執事らしい人にも、このたった一言助けを求める文章を書いた人にも、一体何が起きたというの……?

 さらにペラペラとページをめくった私は、視界に飛び込んできた〝日本語〟の文章たちに、目を見開いた。


 ──6月15日。
 ──たすけてくれ。ここがどこなのか分からない。俺が何をしたっていうんだ。この建物を見つけれたのが不幸中の幸いなのかもしれない。たのむ、他にだれかいたら、ここに何か書き込んでくれ。なんでもいい。だれか。なにか。

 ──6月16日。
 ──だれかの遺体を見付けた。怖い。死にたくない。ユミコに会いたい。

 ──6月20日。
 ──どうやら俺の他に誰もいないようだ。食料はつきた。水もない。死ぬのを待つしかないのか?

 ──6月23日。
 ──このままではだめだとおもい、おれはいかだをつくってうみをわたろうとおもった。だが、きがつけばまたこのばしょだ。

 ユミコにあいたい。

 しにたくない。