甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*

「サトルさん、いい加減
ハッキリさせましょうよ。
色んな事を抜きにして
胡桃ちゃんの事をどうするのか……。
俺、今のサトルさんじゃ
胡桃ちゃんのこと、任せられないですよ。
サトルさんの気持ちをちゃんと
聞かせてください。
でないと、胡桃ちゃんだって……。」


坂下さんが私の顔を見る。


部屋にとてつもなく重い沈黙が流れて……
だ、ダメだ。
耐えられない……。


「坂下さん、良いんです。
良いんですよ、私の事は。
それに聞くまでもないじゃないですか。
そうだ、サトルさん早くユズさんに
この事、知らせないと。
ねっ?ユズさん喜びますよ。
きっと立ち退きの話だって無くなりそうだし
それにサトルさんの見合い話もーーー」


「胡桃ちゃんっ!本当にいいの?
自分だけが納得してそれで良いって
それって真実を知ることから
逃げてるだけじゃないの?
俺は嫌だよ。
この前、胡桃ちゃんの正直な気持ちを知って
一度は納得したつもりだったけど
サトルさんがハッキリしないんじゃ
胡桃ちゃんのことーーー渡せない。
サトルさん、見合い話だってもう
無くなったも同然だしカムフラージュも
必要なくなった訳ですよね。
だったらこの先、胡桃ちゃんのこと、
どうするつもりなんです?
サトルさんの気持ちを教えてください。」


今度はサトルさんを真っ直ぐに見て
坂下さんがキッパリと言った。


すると、ずっと黙っていたサトルさんが
私達が座るテーブルの方へとやって来て
静かに言った。


「ーーー悪い、今はこれしか言えない。
坂下、こいつの事…………よろしくな。」


サトルさんはそう言いながら
頭を軽く下げると部屋の出入り口へと
向かった。