甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*

何となく、気を使って
サトルさんのご両親は先に
帰っていかれた。


この広い部屋に残されたのは
私と坂下さんとーーー
サトルさん。


「サトルさん、取り敢えず
こっちに座ったらどうですか?」


「座ってどうすんだよ。
話すことなんてねぇだろ?
それとも、飯でも食うつもりかよ。
どっちにしても俺は帰るぞ。
ユズに早く知らせてやりてぇし。
っで、お前はどーすんだよ。
用がねぇなら、一緒に帰るか?」


と、私に向けてサトルさんが言う。
すると、


「サトルさんになくても
俺にはあります。」


「なんだよ、改まって。」


と、サトルさんが
帰りかけていた体を漸くこちらに向けた。


「単刀直入に言いますね。
サトルさん、胡桃ちゃんのこと
この先、どうするつもりですか?
大体、胡桃ちゃんのことも
どこまで本気なんですか?」


「どうって……。
坂下、それ今話さなきゃダメか?」


うわっ、坂下さん何てストレートな……。
て言うか、
何か今は聞きたくないんだけど……。
私の事、どう思ってるかとか……。


「ささ、坂下さん!
ほら、今日はユズさんの件で
来てるわけだし、私の事はねっ?
今は……。」


「胡桃ちゃん、ダメだよ。
今だからこそだよ。
もういい加減、お試しとか止めてさ
ハッキリさせようよ。
サトルさんも、いい機会だからいいますけど、
俺、今回ばかりは本気なんですよ。
胡桃ちゃんのこと。」


「坂下さん……その話はもう……。」


「胡桃ちゃん、ごめん。
やっぱり、この前言ったこと取り消すわ。
こんな状態じゃ
俺、胡桃ちゃんの事、諦められないよ。」








坂下さんにはこの前、
ちゃんと話したんだ。
私がサトルさんへの気持ちに
気づいたって事を。


例え、片思いであっても
その気持ちに正直でいたいから


だから、このまま
お試しでの付き合いをもう
続ける事は出来ないって……。


坂下さんも私の話を聞いて
よく、分かったって
その時は言ってくれたんだけどーーー。