甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*

「すいません。
きっと、父が何か動き始めたんだと
思います。父も決めたら直ぐに行動に
移すタイプなので。
それと櫻やさんを無視する形で
勝手にこの場を
ぶち壊す様な事をしてしまい、
本当に申し訳ありませんでした。」

と、坂下さんは
サトルさんのご両親に向けて
深々と頭を下げた。


「いやいや、頭を上げてください。
寧ろ、本当の事を知れて良かった。
確か……坂下くんだったかな?
悟とは学生の頃からの付き合いだったね?
そして、会社の方でも……
こちらこそ、私の怪我のせいで
悟が会社を辞めることになりその節は
君にも迷惑かけたんじゃないかい?」


「いえ、そんなこと全然ありませんよ。
僕は今の職場に満足しています。
それより……縁談の話良かったでしょうか?」


「いやぁ、驚いたよ。
そもそも吉澤さんところの
お嬢さんが和菓子をたまたま
買いに来た時に悟に一目惚れしたと
そう、聞いていたものですから。
こんな出来の悪い息子を
あんな素敵なお嬢さんがそんな風に
好いてくれるとなりゃ、ありがてぇと
そう思って、この話受けたようなもんです。」


きっと、亮子さんのサトルさんへの
思いは本当の事だと思う。
だとしたら、少し気の毒だな。


「チッ、勝手に話進めやがって。
人の気も知らねぇで。
なんでもホイホイ話、受けるから
こんな事になってんだろ?」


それまでずっと黙っていた
サトルさんが不機嫌そうに言った。


「何が勝手だ、コノヤロー。
親心ってもんだろが。
大体、お前がいつまでもフラフラと
してるからじゃねぇか。」


「誰がフラフラだよっ!
俺にはちゃんとーーー」


サトルさんがこっちを見てる。
けれど、それ以上何も言ってくれない。









ねぇ……
ちゃんとの続きはーーー何?


サトルさんは今、一体誰を見ているの?


言ってくれなきゃ分かんないよ……


それはやっぱりーーー……









私じゃないって事……ですか?