甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*

坂下さんの様子を見ると
「ダイジョウブ」って
口を動かすのが分かったので
もう少し様子を見ることに。


「と、兎に角だ。
俺は弱いもの苛めするようなヤツとは
絶対、付き合わねぇし
ましてや結婚なんてあり得ねぇからな。」


サトルさんも負けじと言い返す。


「弱いもの苛めですって?
ユズさんだとか言う人のお店の事を
言っているのかしら?
申し訳ないけどあれはあくまで
ビジネスよ。利益が取れるから
うちの父も動いたという訳。
それを弱いもの苛めだなんて……
失礼にもほどがあるわ。」


うぅ~、確かにだよね。
中々、黒髪美人手強いんですけど。


隣にいる坂下さんが
一旦、少し開けていた扉を
そっと閉めた。
そして真面目な顔で私を見て言った。


「胡桃ちゃん、いい、そろそろ行くよ。
でも大丈夫だから。
胡桃ちゃんは俺の隣で
いてくれるだけでいいから。ねっ?」


「はい……。
でも、かなり相手は手強いですよね。
……上手く行きますか?」


「そうだね、でも問題ないよ。
向こうがビジネスだってそう来るなら
こっちもそれはそれでやりやすいよ。
胡桃ちゃん……
俺の事、信じて。信じられる?」


坂下さんにそう言われ
私は一つ首を縦に振ると


「はい。
坂下さん、お願いします。
何とかユズさんのお店
潰さないでください。」


と、頭を下げた。


「胡桃ちゃん、頭上げなよ。
俺だってユズさんの店が
なくなっちゃ困ると思ってる。
その気持ちは同じだよ。
よし、じゃあ扉を開けて一気に中に入るよ。
きっとこのままだとそろそろ
サトルさんの方が部屋から出てくる頃だ。」


そう言いながら
私の頭を軽くポンポンしながら
柔らかい笑顔を見せると
坂下さんは直ぐに顔を引き締めた。


そして


「開けるよ。」


と、扉をバンッと
勢い良く開けたときーーー


「いってぇなぁ……。
何すんだよ。ったく……イテテテ……」


開けたら扉の所にサトルさんが
立っていた。