甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*

私が落ち着くまで
香澄は何も言わずに
待っていてくれた。


お試しでつきあってるだけで
しかも告白しないうちに
失恋決定したって
複雑な気分だけど


香澄に打ち明けたら
気持ちは随分と
スッキリした。


私はやっとの事で
顔を上げるとーーー


「ごめんね。
もう大丈夫だから。」


と、
精一杯の笑顔で言った。


「本当に?
顔がひきつってるよ。」


「うん。
大丈夫だよ。
ほら、何年もずっと前から
好きだったとかって言うんじゃなくて
自分の気持ちにたった今
気づいたってだけだから
そんなにショックって訳でもないの。」


「そういうものなの?」


「うん……上手く言えないけど。
自分でも何となく分かってたし……
ユズさんのことが
好きなんじゃないかなって。
ただ、今は自分の気持ちに
驚いちゃって。
まさか好きとか……そういうの
意識して考えていなかったから……。」


「そっか。
胡桃がそう言うなら
いいんだけど。
それにほら、あんたには
癒し王子がいるじゃない。」


「癒し王子?」


「ほら、もう一人の仮彼氏。
営業の坂下さんだよ。
もしかしたら初めから坂下さんと
結ばれる運命だったのよ。」


「運命だなんて、それはないよ。
確かに坂下さんは優しいし
一緒にいてもとても楽しい人だよ。
きっとちゃんと付き合ってたら
本気で好きになってたかもしれない。」


「じゃぁ、今からでも
ちゃんと付き合えば?」


「そうはいかないよ。
自分の気持ちに気づいた以上
中途半端な事は出来ないもん。
だから坂下さんとの
仮のお付き合いも止めるよ。
ちゃんと話す。」


私がそう言うと


「なに、真面目くさったこと
言ってるのよ。
坂下さんは寧ろ、今の状況
喜んでるかもよ。
実際にほらーーー」


と、
香澄が窓の外に目線を向けるので
私も見るとーーー











「あぁっ……坂下さん……?
な、なんで……?」


窓の外に坂下さんが手を振り
立っていた。


「なんでって運命なんじゃない?
ほら、ここは私が払っとくから
行っておいでよ。」


「そんなぁ。
香澄も一緒に行こうよ。」


「あんた何言ってるの?
私まで行ったらお邪魔虫に
決まってるじゃん!
ほら、早く行きなって。」


半ばファミレスから
追い出される様な形で
外に出ると
坂下さんが笑顔で出迎えてくれた。


「良かったぁ。
思ったより大丈夫そうだ。」


「大丈夫って?」


「ああ、春川さんからメール貰って
急いで仕事終わらせて駆けつけたんだ。
胡桃ちゃんが大変だって。
ほら」


と、
私に受信メールの画面を
見せる坂下さん。


画面を覗き込むと


ーーー胡桃が大変!(ToT)
助けて坂下さん!
場所…………ーーー


と言った事が
書かれていた。