ブルッ
ブルッ
ブルッ


ブルッ
ブルッ
ブルッ









今にも唇が触れそうな時、
静かな作業場内に無機質な音が響いた。


「あのぉ……」


恐る恐る言ってみる。
てゆーか、本当に近すぎて
唇が触れそうなんですけど……。


「何だよ。」


全く距離は近いままサトルさんが言う。
いや、ほんっと近いよ……。
だけど、引き下がってはいられない。


「鳴ってますよね。」


と、
再度、言ってみる。
取り敢えず目だけでもと
目線を反らして言ってみる。


「気にすんじゃねぇよ。
ほら、目閉じろって。
何なら口は開いたままでいいぞ。」


「なっ、何言ってんですかっ!
早く、電話に出てくださいっ。」


思わず、サトルさんを
両手で押し退ける。


「ったく……。
これじゃぁ、その気も失せるってか。」


そう言いながらサトルさんは
お尻のポケットからスマホを
取り出すと暫く画面を見て
そのまま電源を切った。


えっーーーー