甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*

「ったく……何で今さら……。」


「ダメ……ですか?」


「いや、ダメじゃねぇよ。
別に大した事じゃねぇし。それに、知りたいんだろ?」


私がコクリと首を縦に振ると
ふぅっと息を一つ吐いてから
サトルさんは話し出した。


「お前が坂下にどう聞いているのか
俺は知らねぇけど、確かに俺は
お前のいる会社にいたことがある。
配属先はデザイン部だ。
美術系の大学在学中に
何かの公募で文具のデザインをしたのが
たまたまだろうけど採用されて
それがきっかけで入社した。」


「す、すごい……。」


この人、こんなだけど
ちゃんとしてるんだぁ……。
意外……。


「お前さ、思ってる事、顔に出しすぎ。
へぇ~意外ぃ~みたいな顔止めろ。」


「で、出てました?」


「なんなら、顔に書いてるぞ。
まぁ、兎に角だ、
お前と同じ会社にいたって訳。」


「そうなんですかぁ……。
そうだ、坂下さんも同じデザイン部に
いたんですよね?それに大学も同じですよね」


「ああ、坂下、お前に
そんなことまで話してんだ?
坂下は優秀だったよ。
俺はあいつの才能を素直に認めている。
が、あいつはどうも俺に対して
コンプレックスというか敵対心というか……
あいつまでデザイン部
やめることなかったのにな。」


そうなんだ……。
サトルさんは坂下さんのこと
口ではなんだかんだ言ってても
認めてるんだ……。


ん?
でも、なんで坂下さんは
デザイン部やめちゃったの?
サトルさんが家を継ぐためにやめたって
別に坂下さんまでやめることないよね?


うーん、
まだ、イマイチよく分からないよ……。