「逃げたってーーー」
「お待たせぇ~!
今日はいつも以上に気合い
入っているからねぇ。
たぁくさん、召し上がれ!」
その続きは、ユズさんの言葉に
消されてしまった。
「ほら、食うぞ。」
目の前に置かれたのは
とても手の込んだ和御膳だった。
今回は爽やかな新茶を思い浮かべるような
萌黄色の平たい器に
三色の手まり寿司
宝石のように夏野菜が詰まったテリーヌ
そして、
少し洋風のアレンジがされている
牛のたたき等々……。
どれもが丁寧に芸術的に
作られたものだった。
「食べるの勿体ない……。」
「やだ、胡桃ちゃん。
食べなきゃもっと勿体ないじゃない。」
バシッと私の背中を叩くユズさん。
イテテテテ……。
どうやら、完全に復活しているらしい。
「では、早速。」
どれから手をつけようか迷ったけど
やはり宝石のように夏野菜が
たっぷりと詰まったテリーヌに箸を入れた。
オクラにきゅうりにいんげんに……
ほんと、食べるの勿体ない。
私はゆっくりと一口、箸で運んだ。
「うわぁ。このテリーヌ
和風出汁で作っているんですね。
さっぱりしてて美味しいです。」
「そお?それは良かったわ。
何ならお代わりもあるわよ。
ゆっくり食べてってね。
この間、迷惑かけちゃったお詫びだから。」
「そんな……迷惑だなんて。
私、何もしてませんし。」
「そんなことないわよ。
折角のデートだったのに。
私、あの後、サトルに散々言われたのよ。
お前のせいで折角のデートが台無しだって。」
「えっ……。」
「サトルったら、坂下くんに
あなたの事をお願いしたでしょ?
自分でしておきながら、
後で随分と後悔してたのよ。」
「ユズっ、余計な事を言ってねぇで、
茶碗蒸しもってこいよ。
出てねぇぞ。俺、リクエストしといただろ?」
「はいはい、茶碗蒸しね。
持ってきますよーだ。」
私にウインクを残してユズさんは
キッチンへと入っていった。
サトルさん……。
デート楽しみにしてくれてたんだ。
ほんと、分かりづらい性格なんだから。
私の心の中に何かが
じわぁっと染み込んでいくのは
ユズさんの作るお出汁のきいたテリーヌの
せいなのか……それともーーー
今は兎に角、ユズさんの
目一杯のおもてなし料理を
いただこう。
満足げに箸を進めるサトルさんを見て
私もお料理を食べ始めた。
「お待たせぇ~!
今日はいつも以上に気合い
入っているからねぇ。
たぁくさん、召し上がれ!」
その続きは、ユズさんの言葉に
消されてしまった。
「ほら、食うぞ。」
目の前に置かれたのは
とても手の込んだ和御膳だった。
今回は爽やかな新茶を思い浮かべるような
萌黄色の平たい器に
三色の手まり寿司
宝石のように夏野菜が詰まったテリーヌ
そして、
少し洋風のアレンジがされている
牛のたたき等々……。
どれもが丁寧に芸術的に
作られたものだった。
「食べるの勿体ない……。」
「やだ、胡桃ちゃん。
食べなきゃもっと勿体ないじゃない。」
バシッと私の背中を叩くユズさん。
イテテテテ……。
どうやら、完全に復活しているらしい。
「では、早速。」
どれから手をつけようか迷ったけど
やはり宝石のように夏野菜が
たっぷりと詰まったテリーヌに箸を入れた。
オクラにきゅうりにいんげんに……
ほんと、食べるの勿体ない。
私はゆっくりと一口、箸で運んだ。
「うわぁ。このテリーヌ
和風出汁で作っているんですね。
さっぱりしてて美味しいです。」
「そお?それは良かったわ。
何ならお代わりもあるわよ。
ゆっくり食べてってね。
この間、迷惑かけちゃったお詫びだから。」
「そんな……迷惑だなんて。
私、何もしてませんし。」
「そんなことないわよ。
折角のデートだったのに。
私、あの後、サトルに散々言われたのよ。
お前のせいで折角のデートが台無しだって。」
「えっ……。」
「サトルったら、坂下くんに
あなたの事をお願いしたでしょ?
自分でしておきながら、
後で随分と後悔してたのよ。」
「ユズっ、余計な事を言ってねぇで、
茶碗蒸しもってこいよ。
出てねぇぞ。俺、リクエストしといただろ?」
「はいはい、茶碗蒸しね。
持ってきますよーだ。」
私にウインクを残してユズさんは
キッチンへと入っていった。
サトルさん……。
デート楽しみにしてくれてたんだ。
ほんと、分かりづらい性格なんだから。
私の心の中に何かが
じわぁっと染み込んでいくのは
ユズさんの作るお出汁のきいたテリーヌの
せいなのか……それともーーー
今は兎に角、ユズさんの
目一杯のおもてなし料理を
いただこう。
満足げに箸を進めるサトルさんを見て
私もお料理を食べ始めた。



