甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*

「いたよ。」


えっ!
それだけ?
いやいや、今日は突っ込んで
聞くんだからっ。


「デザイン部にいたんですよね?」


「そうだっけかな?」


んもぉ~。
何よ、その適当な答え。
めげないんだからね。


「聞きましたよ。」


「何を?」


「止めた理由。トキさんに。」


「ったく、トキさん……余計な事を。」


「でも、凄いことじゃないですか。
お父さんを思って跡を継ぐなんて。」


私がそう言うとサトルさんは
スッと目線を自分の手元に落として


「凄くなんかねぇよ。
逃げただけだよ、俺は。」


自信ありげな普段とは違って
ボソッと消え入りそうな声で呟いた。