甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*

「胡桃ちゃんっ!
この前はごめんねぇ~っ。」


むぎゅぅ~っとユズさんに
いきなり抱きしめられた。


「うっ、く、くるしぃ……。」


「あっ、ごめん、ごめん。
つい力が入っちゃったわ。」


そう言いながらユズさんは
私を解放してくれた。


「い、いえ……。
お元気そうで、良かったです……。」


「そうなのよ。もうね、バッチリよ!
ちょっと、あの時、無理してたのよね。」


「そうなんですか……。」


「そうなの。
たまたま、予約客が重なってて
その準備やらなんやらで……。」


「大体、ユズは昔っから
一人でなんでもやりすぎなんだよ。
てゆーか、いつまでここで立ち話
しなきゃなんねぇんだよ。」


サトルさんが、呆れた顔して言った。


「そうね、ごめんごめん。
じゃぁ、早速、用意するから
席についてて頂戴。
あれ?坂下くんは」


「えっ、坂下さんですか?」


「ええ、あの時、道で急に
目眩がして座り込んでいたとき、
坂下くんが見つけてくれたのよ。
だから、今日は坂下くんにも
来てもらおうと思って……。」


「ああ、坂下、今日は接待入ってて
無理なんだと。宜しく言ってたぞ。」


「そうなの……残念ね。
サトルにあなた達の事を聞いたから
胡桃ちゃんのハーレム状態、
この目で確かめたかったのに……。」


と、茶目っ気たっぷりに
ユズさんが言う。
てゆーか、
ハーレム状態って……。


「でも、あれよね?
坂下くん、接待とかって
本当に営業でがんばってんだ。
勿体ない気もするけどなぁ。」


「お前、余計な事、喋ってねえで
突き出しくらい早く出せよ。
こっちは腹、減ってんだよ。」


「はいはい、分かりましたって。」


そう言うと、漸くユズさんは
奥へと行った。


なんだぁ……。
坂下さんも今日、誘われていたのかぁ。


ある意味、来なくて良かったよね。
いつかの時みたいな……。
ブルッ
想像すると震えがくる。


にしても……


「サトルさん、うちの会社に
いたんですよね?」


どさくさに紛れて気になっていたことを
聞いてみた。