何度も何度も角度を変え、
私の唇を奪う坂下さん。


「ん、ぅ…………」


やだ、変な声が出ちゃう……
恥ずかしくなって逃げようにも
更に抱き寄せる手には力が込められ
私はただ従うばかり。


漸く、ゆっくりと唇が離れたものの
坂下さんは放心状態の私の両頬を包み込むと
また唇と唇が触れそうな距離で言ったーーー


「なぁ、俺だけの女になれよ。」


その目は真剣で、
お酒の勢いだけとは思えないものだった。
むしろ、普段とは違う
坂下さんの雰囲気に
飲み込まれそうだった私は
ただ、その目をじっと見つめ返すしか
出来なかった。