「そろそろ、迎えに来てくれる
はずなんだけどなぁ……。」


自宅マンション前で待つものの、
約束の時間が来ても、
サトルさんは現れなかった。


電話しようか……
でも、それだと
何か私、張り切ってるみたいだし……。
だけど、何の連絡も無いとかって
言うのも……まさか事故?


どうしたんだろ……。


するとーーー


猛スピードで車が止まったと
思ったら、スーッと窓ガラスが開いて、


「早く、乗れ。」


と言われた。


な、な、何それぇ~


文句でも言おうかと思ったら


「ボケッとするんじゃねぇよ。
ほら、後ろ乗れって。」


後ろ?
えっ、一応、今日ってば
デートっぽい感じなんだよね?
なのに、助手席にも座れないの?
何よ、何よ、何よぉ~っ!
何なのこの扱いっ!


もう、今日、行かないって
言おうとしたんだけど、
よぉく、車の中を覗くと
助手席のシートがめちゃ、
倒されていて、
そこには苦しそうにしている
ユズさんがいた。


「ユズさん!」


「すげぇ熱なんだ。
病院に連れてくから、後ろ乗れ。」


「あっ、う、うん。」


私は急いで後部座席に
乗り込んだ。