着いたのは観光で有名な港町で
私達は海の見える公園を
のんびりと散歩した。


「うぅ~、気持ちいいね。
お天気心配だったけど晴れて良かったね。」


伸びをしながら歩く坂下さんが言う。


「はい、ものすごく
久しぶりに来ましたけど
相変わらず、ここからの景色は
綺麗ですね。」


「そうだね。
僕は好きだよ。なんたって
僕が育った街だからね。」


「そうなんですか?」


「ああ、実家がある。
いずれ、君を紹介出来ればな、
と、思っているけどね。」


「しょ、紹介っ。」


「ハハハ、心配しないで。
うちの両親はそんな固くないし
それに、紹介するのはちゃんと
君が僕を選んでくれてからだよ。」


「あっ、はい…………。」


そうなんだよね。
最終的に私が決めるんだよね。
坂下さんかサトルさんかーーー


ちゃんと私もこの期間に
坂下さんの事を知らなきゃ失礼だよね。
その為のお試し期間なんだもん。
理由はどうであれ。


ってゆーか、
そもそもなんで坂下さんと
サトルさんは知り合いなんだろう。


見た感じ、先輩と後輩っぽいけど……。
結構、二人とも毒づいてたし、
特にサトルさんは坂下さんに対して
明らかに敵意持っていたよね。
んーーーー……。


気になっていた疑問が頭の中を
グルグルと巡り出した。


「坂下さんとサトーー櫻井さんって
どういう関係なんですか?」


思いきって聞いてみた。


「サトルさんと僕の関係?
気になるんだ。それはーーー
サトルさんが気になるの?
それとも僕が、なの?」


と、
私の顔を覗き込むように聞いてくる。


「ど、ど、どちらでもありません。
その、ただ、気になったから……。」


「元、先輩と後輩だよ、大学と
そしてーーー職場のね。」


「職場?」


公園にあるベンチに座って
ゆっくりと話を聞くことにした。


「そっ、胡桃ちゃんが入社前に辞めたけど、
サトルさん、うちの会社にいたんだよ。
デザイン部にね。」











ええええええええええぇーーーっ!


う、嘘でしょ……。


だってサトルさんは櫻やの跡取りで……
和菓子職人でしょ?
なんで?


「驚くのも無理ないよ。
まぁ、詳しくはサトルさんに
直接聞くと良いよ。
今は僕に集中して?」


「…………はい、////////」


そんな、見つめられると
緊張するんですけど……。


その後、中華街に行き、
雑貨屋さんや色々とお店を見て回って
そして、坂下さんが予約していた
有名なお店で中華ディナーを食べた。


けれど、
坂下さんには申し訳ないけど
サトルさんが私の勤める会社にいたと言う
事実が頭の中を回っていて
美味しいはずのお料理の味が
あまり分からなかった。