甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*

「ごめん…みんなまで
巻き込んじゃって…。」


「謝ることねぇって。
兎に角、トキさんに会ってやれって。
つまんねぇ、意地はるんじゃねぇよ。」


ん?
今、なんて?
なんか…聞き覚えのある名前が……





「「トキさんっ!」」


静かな病院のロビーに
私と坂下さんの声が響き
思わず、口を塞ぐ。


「トキさんって…櫻やのですか?
俺、全く知らないんですけど。」


と、さすがの坂下さんも
驚きを隠せない。


「まぁ、色々とあってな
生き別れってやつ?」


「生き別れ…ですか?」


私の問い掛けにユズさんが
ぎごち無い笑顔で
応えてくれる。


「うん。
小さい時にね。親が離婚して
私は父方に引き取られたから。」


「でも、お母さんなんですよね?
間違いなく、トキさんが
お母さんなんですよね?」


私がユズさんに聞くと


コクリと一つ頷いた。


「だったらーーー」






私はユズさんの手を
ガシッと取ると言った。


「サトルさん、早く案内してください。」


私の突然の行動に若干
あっけに取られるも
サトルさんは直ぐさま
ニヤリと一つ笑うと「こっちだ。」
そう言って前を歩きだした。


私の気迫にユズさんも観念したようで
しぶしぶながらも歩く。


そしてーーー
ある病室に来た時


「まだ眠ってるかもしれないけど
こっからはお前、一人で入ってこい。」


サトルさんが病室のドアの前で
ユズさんに向けて言った。


私もユズさんの手を離すと
今度はそっと背中を押した。


ユズさんは
一瞬、驚いた顔をしたけど


「胡桃ちゃん…ありがとう。」


そう言うと、ゆっくりとドアを開け
中へと入って行った。