甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*

漸く、型にはめて蒸したものが
仕上がった。


後は三角に切り分けていくだけだ。


「思ったりより、時間くっちまったな。」


ふと、作業場の時計に目をやると
日付はとうに変わっていた。


ここで気を抜くと
また失敗しかねないと思った俺は
一気に仕上げの作業に取りかかった。


丁寧に、けれど思いきりよく
切り分けていく。


そして仕上がったものを
冷蔵庫にしまおうとしたとき
不意に先に作っていた"銀河"が
目に入った。


俺の新作だ。


来月の七夕に合わせて
店頭に出すつもりにしている。


不意に銀河を誰よりも先に
試食させた時のあいつの顔が
目に浮かぶ。


「旨そうに食いやがって。」


フッと顔が緩むのが自分でも分かる。
と、同時にこの前、ホテルで俺が
坂下にこいつをよろしくって
言った時のあいつの悲しげな顔を
思い出した。


胸が締め付けられる感じがした。


俺はちゃんと分かってる。
自分の気持ちぐらい
他の奴に言われなくても
分かってる。


俺はーーーー











胡桃が好きだ。