「……ありがと」 パッと身を翻して、あたしはそのまま走り出す。 後でもしも先生にバレて怒られたっていいや。 だって今、あたしは先輩に会いたい。 階段を降りた先にはたくさんの人。 だけど、あたしの目に映るのはひとりだけ。 「天斗先輩……っ!」