有紗は俺の隣の空席に座って 『宜しくね』 と言いながら、小学校低学年とは思えないほどの綺麗で、切なげな笑みを浮かべたんだ。 それを見た俺は子供ながらに"守ってあげたい"そう思ったんだ。 「俺は、菊池 樹。樹って呼んで」 『樹……くん、か。仲良くしてね』 もっと、楽に笑えば良いのに。 もっと、楽に笑わせてあげたい。 たったそれだけのことを叶えるのに、俺は一体、何年かかったんだろう。