「分かった。じゃあ、こうしよう。一緒に給食室まで行って、誰にも襲われなかったら俺は包丁を手にしない。食料だけ手に入れる。そのあとは新名の好きにしたらいい。だけど、給食室に行くまでに1度でも襲われたら、俺は包丁を手に入れる。それから先、新名も一緒に行動を共にしてもらう。危険だからな」

「……。いいでしょう。まぁ、襲われることなんて無いと思いますけど」


 渋々といった形だが、新名は俺の案を飲んでくれた。

 そこまでして誰にも襲われない自信があるのは、クラス委員長として学校の生徒を疑いたくないからなんだろう。

 俺も疑いたくなんてないけど、何かあってからだと遅いから……な。念には念を、というヤツだ。


「ねぇ!北條!給食室に行く間に誰かに襲われたら、どうするのよ?!」


 熊沢が焦ったような口調で言う。

 確かに、ご飯や包丁などの武器になるものがたくさん置いてある給食室に行くまでに、誰かに襲われたら元も子も無い……。

 給食室に到着するまでの間、武器の代わりになるようなものを持っていた方がいいのかもしれない。


「そうだな……。鋏とか、先の尖った鉛筆なんかを持っていくか?」

「……真人くん、この中から……?」


 俺がそう提案した直後、琴音が瓦礫の散乱した教室を見渡した。