準々決勝を勝ち抜いた日の夜、ホテルのフードコートにて。



「こんリバテープやったら邪魔にならんやろ」



「泰ちゃんありがとー!流石マイブラザー!」



今日切った場所を、小さな絆創膏で治療してくれた泰ちゃんのおかげで、明日は大丈夫そう。



熊本の人は絆創膏を『リバテープ』と呼ぶ。何でかは本人達も知らない七不思議的な言葉である。



泰ちゃんから自然とその単語が出て、言い表せない不思議な気持ちになった。



「キャプテンは手、大丈夫なの?」



「ああ、もう大丈夫だ」



目線を今度は秀吉キャプテンに向けると、お返しに手を結んだり開いたりして見せる。



手根幹症候群になってからというものの、鉛筆やお箸は左手でも出来るようトレーニングしたらしい秀吉キャプテンは、器用に左手で食事を摂っている。



「明日は準決勝なんやなぁ…。俺達、もうベスト4なんやね」



「有ちん先輩なんぼんやりしとっとや!優勝以外いらんやん!」



「んぐっ!………ゲッホゴホォ!」



遠い目でこれまでを振り返っていた有ちん先輩を行雲先輩がバシッと叩き、有ちん先輩はそのせいで麦茶を喉に詰まらせ噎せ返る。



ピカ先輩は自由にバイキングの食べるものを選び倒し、皿に乗せてルンルンしている模様。



ここまで来ても緊張感皆無のかわいこちゃんズ両名に、最早心強く感じてしまう。