その後、泊まるホテルに荷物を置き、ランニングと、ボールが無くても出来るフットワーク等の練習を済ませ、夕食を取り、ミーティング。



熊本ではまだまだ明るい時間だけど、こちらはだいぶ夕焼けに染まった空に、ああ、熊本に慣れたなー、俺。何て緊張感の無いことを考えたり。



「今から、明日の対戦校の映像を見る。いいな?」



箱田先生と合流し、大広間。



秀吉キャプテンが持っていたDVDをセットし、初戦の相手校の予選の試合を流す。



初戦の相手、岐阜代表、花江高校は、15人全てがじゃんじゃん交代で入ってくる、ディフェンスの強い高校。



スタープレイヤーと呼べる選手はいないが、交代が激しい分、一人一人の動きが良く、オールコートマンツーマンでオフェンスにプレッシャーを与えるプレイスタイル。



「スッゲー…!」



試合を観ながら、行雲先輩がうずうず、と肩を揺らす。



それはもう、今すぐにでもバスケがしたい、という衝動を抑えることが出来ないかのように。



有ちん先輩は初めての全国に、緊張で口がみょーん、と横に伸びきっている。



ピカ先輩は手と足でリズムを取り、試合に自分が出た時をイメージしているよう。