トイレでスッキリし、有ちん先輩と購買でパンでも買おうということになり、二人でてくてく歩く。
「あー遂に決勝かぁ、なんか武者震いっていうんやろうか、震えが止まらんわ」
眼鏡を掬い上げた指先が少し震える有ちん先輩は、はは、と優しく笑う。
「何言ってんの、まだ予選でしょ。本番は来月じゃないっすか」
「だよな……でもさ、俺三年生やし、冷泉や曜と違って凄い選手でもなかけん、負けたら引退やけん、さ」
そっか。自分がバスケすることが楽しくて忘れてたけど、秀吉キャプテンやピカ先輩は推薦で実業団や大学に行けるかもしんなくても、他の三年生は違うんだ。
「だったら勝って、勝ちまくって、まだ皆でバスケやりましょーよ!」
「小鳥遊に言われると心強いや」
絶対こんなとこじゃ終われない、と決意して購買の列へ向かう。
すると俺達の目の前には…なんの偶然か、先程スーパープレイをしていたブロンドヘアーが。