「先輩貸して!」



行雲先輩からもぎ取った小さな望遠鏡で、チームメイトとハイタッチするその顔を監察。



「目の色は黒いけど、下がり眉がそっくり」



「デショデショ。可愛かろ?うちの歩ちゃん」



どっちかって言うと、ピカ先輩の方が可愛らしい風貌であっちのが兄貴に見えるけど。



「しかし…味方にしとくにはいい人材が、敵に回ったか。厄介だな」



後ろで長い脚を組み試合を眺めていた秀吉キャプテンが、小顔に似合う小さな薄い唇を縛り、細くつり上がった眉毛を寄せる。



「ピカ先輩が敵とか、正直しんどくねっすか?さっきん試合でぎゃん体力消耗しとるとに」



行雲先輩は可愛らしい美形の顔を歪ませ、べぇ、と舌を出す。



「失礼やな皆!俺、歩ちゃんみたいに隙だらけんオフェンスせんし!ぷんっ!」



俺達から見ればレベルは同格に見えるけど、ピカ先輩からすれば、まだまだなわけ?



「椿ちゃん直伝のディフェンスもあるけんね、俺がマッチアップしてもよかけど?」



「嘗めんな、俺が止めるわ!」



そうだな。ゴール下でのブロックやリバウンドは泰ちゃんがいるし、行雲先輩がマッチアップするのが一番いいだろう。